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​ブログでは視覚に関する論文紹介を中心に更新しています。

Association of Ptosis with Mental Health Conditions in Adults from a Large United States Research Database

  • Sakura
  • 2月10日
  • 読了時間: 4分

更新日:2月15日

Shah, J., Lin, M., Schmuter, G., Kovacs, K. D., & Godfrey, K. J. (2025). Association of Ptosis with Mental Health Conditions in Adults from a Large United States Research Database. Complex psychiatry, 11(1), 94–98.


題名:米国の大規模研究データベースを用いた成人における眼瞼下垂と精神健康状態との関連


目的:本研究の目的は、成人における眼瞼下垂(ptosis)と、不安、うつ病、双極性障害、統合失調症スペクトラム障害、物質使用/依存性障害を含む精神疾患の有病率との関連を評価することです。


方法:米国国立衛生研究所(NIH)の All of Us Research Program のデータを用いた横断研究を実施しました。眼瞼下垂と診断された成人4,411名と、年齢、性別、人種、教育歴、収入でマッチさせた傾向スコア一致対照群4,411名を対象としました。1:1の傾向スコアマッチング解析を行い、眼瞼下垂群と対照群を比較しました。体格指数(BMI)、高血圧、血糖値などの潜在的交絡因子を調整するためにロジスティック回帰分析を用いました。評価項目は、不安、うつ病、双極性障害、統合失調症スペクトラム障害、物質使用/依存性障害の有病率であり、主要アウトカムは「何らかの精神疾患」と眼瞼下垂との関連です。


結果:眼瞼下垂を有する成人は、対照群と比較して精神疾患の有病率が有意に高かくなりました。不安(46.8% vs 28.9%)、うつ病(44.9% vs 27.8%)、双極性障害(5.8% vs 3.6%)、統合失調症スペクトラム障害(1.8% vs 1.1%)、物質使用/依存性障害(23.4% vs 17.0%)のいずれも眼瞼下垂群ではより高くなります。「何らかの精神疾患」の有病率も眼瞼下垂群で有意に高くなります(63.4% vs 44.8%、p < 0.001)。交絡因子調整後も、眼瞼下垂は「何らかの精神疾患」のオッズ増加(調整オッズ比[aOR]: 1.92、95%信頼区間[CI]: 1.76–2.10)および各精神疾患それぞれと有意に関連していました。


結論:眼瞼下垂は精神疾患の有病率増加と有意に関連しており、独立したリスク因子である可能性が示唆されました。眼瞼下垂患者に対しては、精神健康スクリーニングや心理社会的支援を検討すべきです。今後は、因果機序の解明や、眼瞼下垂の原因や重症度に基づくリスク層別化を目的としたさらなる研究が必要です。本研究には、眼瞼下垂患者が医療機関を受診する機会が多いことで精神疾患と診断されやすくなる可能性(バイアス)が含まれる可能性があります。


要約:Plain Language Summary

本研究は、上眼瞼が垂れ下がる状態である眼瞼下垂と、成人における精神的健康問題との関連を検討しました。眼瞼下垂は視機能や外見に影響を及ぼし、生活の質に影響する可能性があります。研究者らは、米国の大規模医療データベースを用い、眼瞼下垂のある成人4,411名と、同様の背景をもつ非眼瞼下垂群を比較しました。その結果、年齢、性別、その他の健康要因を調整した後でも、眼瞼下垂のある人は、不安、うつ病、双極性障害、物質使用障害などの精神疾患の有病率が有意に高いことが示されました。本研究は、眼瞼下垂が精神健康問題の独立したリスク因子となり得ることを示唆します。眼瞼下垂自体が直接精神疾患を引き起こすわけではありませんが、外見に対する意識や社会的影響などが、ストレスや情緒的苦痛に寄与する可能性があります。著者らは、眼瞼下垂のある人に対して精神健康スクリーニングが有益である可能性を指摘しています。今後は、この関連の具体的な原因や、眼瞼下垂の重症度などの要因が精神健康アウトカムにどのように影響するかを明らかにするための研究が必要です。


コメント:この研究では眼瞼下垂が精神健康問題の独立したリスク因子となり得ることを示唆しています。眼瞼下垂の症状でお悩みの方は少なくありません。近年では眼瞼下垂専門外来をお持ちの病院もございますので、症状が気になる方は眼瞼下垂外来へのご相談をご検討ください。ただし、眼瞼下垂患者さんが医療機関を受診する機会が多いことから、精神疾患と診断されやすくなる可能性(バイアス)が含まれます。したがって、眼瞼下垂≠精神疾患ではございませんので、ご注意ください。

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