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​ブログでは視覚に関する論文紹介を中心に更新しています。

Calculation of solar ultraviolet influx in the eye considering the field of view and pupillary dilation due to sunglasses

  • Sakura
  • 5月27日
  • 読了時間: 3分

Masili M, Duarte FO, Ventura L. Calculation of solar ultraviolet influx in the eye considering the field of view and pupillary dilation due to sunglasses. Sci Rep. 2024 Mar 19;14(1):6604.


題名:サングラスによる視野と瞳孔拡張を考慮した眼への紫外線流入の計算


目的:メディアや専門文献では、サングラスの紫外線(UV)保護は極めて重要であると報告されています。その理由として、レンズが適切なUV保護を提供しない場合、サングラスが逆効果になる可能性があると指摘されています。この主張の根拠は、目が日光にさらされると瞳孔が収縮して紫外線を抑え、眼内を保護するというメカニズムにあります。したがって、暗いレンズが適切なUV保護を提供しない場合、瞳孔が開いているために眼内へのUVの侵入が増加し、その悪影響が強まり、UV保護がない場合よりも眼組織に深刻な影響を与えると考えられてきました。しかし、現時点ではこの主張を定量的に裏付けた文献は存在しません。


方法:本研究では、人がサングラスを着用している場合と着用していない場合の2つの状況で、瞳孔を通過した太陽UVの侵入量を計算しました。さらに、UV保護性能の低いサングラスが、通常の大きさの瞳孔と比較して、拡大した瞳孔を通過したUVの侵入量を実際に増加させるかどうかを評価しました。


結果:214種類のサングラスレンズをテストした結果、瞳孔の拡張はUVの侵入量に大きな影響を与えないことが示されました。主な要因は視野(FOV)であり、瞳孔サイズの影響を最大で314.3%上回ることが観察されました。これは従来の一般的な説明を否定する結果です。UV-A保護が86%未満のすべてのレンズには潜在的なリスクがあり、サングラスを使用しない場合よりも多くの紫外線が目に入る可能性があることが示されました。本研究の結果は、「UV保護性能の低いサングラスの着用は、眼内部の健康に対する危険性を悪化させる可能性がある」という主要な結論を支持するものです。ただし、この悪化の原因は、サングラスによって引き起こされる瞳孔の拡張ではないことが確認されました。より適切なディスカッションとしては、明るい屋外環境では、不随意的な目を細める反応により視野が狭くなり、それが太陽光の目への流入を自然に弱めているということです。サングラスは周囲を暗くすることで、この自然なまぶたの反応を妨げ、結果として視野を広げてしまいます。この文脈において、本研究の目的は達成されており「UV保護が不十分なサングラスは、裸眼時の狭い視野で入る紫外線量よりも多くの紫外線を目に入れてしまう」ことが示されました。今回の結果は最大400nmの紫外線に対して得られたものであるため、メーカーには単に最低基準を満たすのではなく、すべてのサングラスレンズでUV400特性を実現し、不要な紫外線リスクを軽減するよう努めることを提案します。


結論:サングラスを選ぶときにはUV保護性能の高いサングラスを選択することが適切であり、色の濃さによる瞳孔の拡大は紫外線の流入量にあまり影響を与えません。


まとめ:色の濃いサングラスは瞳孔が開き紫外線の流入が増えるといった話があります。しかし、瞳孔の拡大は紫外線の流入量にあまり影響を与えない結果が示されました。しかしながら、色の濃いサングラスは明るい屋外環境において、目を細める反応を防いでしまい、紫外線の目への流入を助長してしまう可能性はあります。したがって、UV保護性能の低いサングラスの着用は、眼内部の健康に対する危険性を悪化させる可能性があります。



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