Causal Relationships Between Glycemic Traits and Myopia

Li FF, Zhu MC, Shao YL, Lu F, Yi QY, Huang XF. Causal Relationships Between Glycemic Traits and Myopia. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2023 Mar 1;64(3):7.

題名：血糖特性と近視の因果関係

目的：糖分摂取が近視のリスク因子であるかについてはほとんど解明されていません。また、血糖コントロールの影響についても明確ではなく、報告されている結果には一貫性がありません。本研究では、複数の血糖関連指標と近視との関連を評価することで、この不確実性を明らかにすることを目的としました。

方法：本研究では、独立したゲノムワイド関連解析（GWAS）の要約統計を用いた2サンプルのメンデルランダム化(MR)デザインを採用しました。アディポネクチン、体格指数（BMI）、空腹時血糖、空腹時インスリン、ヘモグロビンA1c（HbA1c）、プロインスリンの6つの血糖関連指標を要因とし、近視をアウトカムとしました。主な解析方法として逆分散加重法（IVW）を用いて、包括的な分析を補足的に実施しました。

結果：調査対象とした6つの血糖関連指標のうち、アディポネクチンが近視と有意に関連していることが判明しました。遺伝的に予測されたアディポネクチン濃度は、近視の発症率と一貫して負の関連を示しています。

IVW（OR]= 0.990；P = 2.66 × 10^-3）

MR Egger（OR = 0.983；P = 3.47 × 10^-3）

weighted median method（OR = 0.989；P = 0.01）

weighted mode method（OR = 0.987；P = 0.01）

すべての分析においても、この関連性を支持するデータが得られました。さらに、HbA1c値が高いことも、近視リスクの増加と関連していました（IVW：OR = 1.022；P = 3.06 × 10^-5）。

結論：遺伝学的結果から、アディポネクチン値の低下およびHbA1c値の上昇が近視リスクの増加と関連していることが示されました。身体活動や糖分摂取は血糖コントロールにおいて調整可能な要因であることから、本研究の結果は近視発症の抑制に向けた新たな戦略に関する知見を提供します。

まとめ：アディポネクチン値やHbA1c（ヘモグロビンA1c）の値が近視の進行に関連していることが示されました。アディポネクチンを増やすには、毎日の食事が重要とされています。

Song, X., Kestin, M., Schwarz, Y., Yang, P., Hu, X., Lampe, J. W., & Kratz, M. (2016). A low-fat high-carbohydrate diet reduces plasma total adiponectin concentrations compared to a moderate-fat diet with no impact on biomarkers of systemic inflammation in a randomized controlled feeding study. European journal of nutrition, 55(1), 237–246.

また、減量で血中のアディポネクチン濃度が増えるとされています。運動やエクササイズを積極的に取り入れるというのもアディポネクチンを増やすことにつながるとされています。

Yanai, H., & Yoshida, H. (2019). Beneficial Effects of Adiponectin on Glucose and Lipid Metabolism and Atherosclerotic Progression: Mechanisms and Perspectives. International journal of molecular sciences, 20(5), 1190.

病気の状態によってはアディポネクチンを増やすことが必ずしも有益ではない場合がありますが、運動やエクササイズによってアディポネクチン濃度が増え、HbA1c値が低下すると、近視の進行速度は遅延（緩やかに）する可能性があるのかもしれません。