Debate: Social media in children and young people - time for a ban? It is time to take a precautionary approach. Why health professionals are calling for a ban on social media for under-16s
- Sakura
- 2025年12月18日
- 読了時間: 6分
更新日:1月4日
Skinner A, Foljambe R. Debate: Social media in children and young people - time for a ban? It is time to take a precautionary approach. Why health professionals are calling for a ban on social media for under-16s. Child Adolesc Ment Health. 2025 Nov;30(4):419-421.
題名:なぜ医療専門家が16歳未満のソーシャルメディア使用禁止を求めているのか
概要: 英国において小児科、精神科、心理学、総合診療の分野で最前線に立つ医療専門職として、私たちは子どもおよび青少年の間で深刻かつ拡大し続けるメンタルヘルス危機を目の当たりにしており、その状況がソーシャルメディアの利用によって悪化していると考えています。臨床現場での経験に加え、増え続ける研究知見に基づき、私たちはソーシャルメディアが、不安、抑うつ、摂食障害、身体醜形障害、自傷行為、自殺念慮など、多岐にわたる有害なメンタルヘルス転帰に寄与していることを示す証拠を提示します。特に、神経多様性のある子どもや社会経済的に不利な状況にある子どもといった脆弱な集団は、影響を不均衡に受けています。学術的には一定の利点が指摘されることもありますが、私たちの臨床現場における多数の症例経験からは、予防的対応を早急に講じる必要性が明確に示されています。私たちは、現行の規制枠組みは不十分であると考え、予防原則に基づく公衆衛生アプローチを提唱します。すなわち、16歳未満のすべての子どもに対するソーシャルメディア利用の即時法的禁止を行い、利用を認める前に技術企業側が安全性を立証する責任を負うべきです。さらに、年齢確認システムの強化、公衆衛生キャンペーンの実施、保護者向けガイダンス介入、問題のあるソーシャルメディア利用に対する日常的な臨床スクリーニングの推進を提案します。本論文は、子どもおよび青少年医療の最前線に立つ私たち医療専門職の集団的な声を反映したものであり、予防可能でありながら深刻化する若年層のメンタルヘルスへの脅威に対し、断固とした政策的対応を求めるものです。
コメント:ご存じの方も多いと思いますが、オーストラリアでは世界で初めて未成年に対するSNS規制が開始されました。実はこの規制、世界中で検討されています(オーストラリアの世論調査では77%がこの法規制に賛成しているとされています)。デンマークでは2026年にも15歳未満のSNS利用を原則禁止する方針で、ルーマニアでも親の同意を得ない16歳未満のSNS利用制限が議論されています。またEUでも、2026年にSNS規制法案を提出し、未成年の利用禁止を検討すると報じられています。さらに、米国ではミシシッピ州など複数の州が年齢制限を設けており、ニュージーランドやマレーシアでも16歳以下へのSNS規制が検討されています。
中国では、未成年者のSNS・ネット利用に対し、年齢に応じた厳しい時間制限(例:8歳未満40分、16~18歳未満2時間まで)、夜間(午後10時~午前6時)の利用禁止、教育コンテンツへの誘導、ギフト(投げ銭)禁止など、2020年ごろから導入されたゲーム規制をきっかけに、スマホ利用全体へと規制が強化されています。ハンガリーでは、教室と家庭の両方でスクリーンタイムを削減した結果、生徒、教師、保護者の幸福度が向上し、生徒の集中力や判断力が高まりました。そして学校でのスマホ禁止は生徒間の交流増加と、いじめ減少という成果が報告されています。
このように近年、16歳未満の状態でデジタルに接する時間、機会が増加すると心理的負担、他の健康的な活動を阻害し、心身にすくなからぬダメージを与え、学習にも影響を与えることが示されています。また、目の観点では25分間スマートフォンを視聴すると眼圧(IOP)が1.5mmHg上昇することも示されていますし、眼精疲労やスマホ老眼のリスクも指摘されています。日本の高校生が1日にスマートフォンを視聴する時間は6時間19分(こども家庭庁による調査)とされており、The State Of Digital Lifestyles 2018 では、日本人のスマホ依存は世界で3位(1位:インド・2位:韓国・3位:日本)という報告があります。したがって、目の健康を保つ観点からもSNS規制は有用かもしれません。
1) Arman, A., Vahedi, H., Jafarizadeh, A., Moshfeghinia, R., Talebnezhad, M., Heydari, M., & Razeghinejad, R. (2025). The effect of digital devices screen use on intraocular pressure: A systematic review and meta-analysis. Graefe's archive for clinical and experimental ophthalmology = Albrecht von Graefes Archiv fur klinische und experimentelle Ophthalmologie, 263(10), 2857–2866.
2) Kaur, K., Gurnani, B., Nayak, S., Deori, N., Kaur, S., Jethani, J., Singh, D., Agarkar, S., Hussaindeen, J. R., Sukhija, J., & Mishra, D. (2022). Digital Eye Strain- A Comprehensive Review. Ophthalmology and therapy, 11(5), 1655–1680.
私の長男(高校生)は現在、カナダに留学していますが、同国でも子ども・若者をオンラインの脅威から守るための措置の一環として、学校での携帯電話の使用を制限する方向で動いています。また、カナダ教育委員会は米メタ・プラットフォームズ、米スナップ、中国系動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」のサービスが生徒に有害な影響を与えているとして、損害賠償を求めて提訴しています。
複数の研究によると、フェイスブックやインスタグラムなどSNSには中毒性があり、長期間の使用は不安やうつを引き起こす可能性があるとされおり、米国でも昨年33州がメタを提訴。サービスが子どもの精神衛生上の問題を引き起こしたと訴えています。日本では未成年のSNS規制やスマホ使用規制に反対の方も多くいらっしゃいますが、世界では規制の方向に舵を切りつつあります。その背景にはこの20年でSNSやスマホ利用が未成年に与える影響のエビデンスがある程度、明らかになったことが理由として挙げられます。
SNSとテレビでは、情報の性質(双方向性か一方通行か)と依存のメカニズムが大きく異なります。特にSNSは、承認欲求や人間関係の希薄化といった社会的要因に根ざした、より複雑な依存性を持ちます。 テレビが主に「受動的な習慣」として利用されるのに対し、SNSは「能動的なコミュニケーションと報酬のループ」によって、より強く、複雑な依存を引き起こす傾向があります。個人的な考えとして、日本でも一定程度、未成年のSNS使用を行政やサービス提供側が規制、検討する状況になってきていると一親として考えています。
また、SNS依存は企業売上増加に繋がるとされています。SNS・インフルエンサー属性やフォロワー参加による愛着の発達が過剰な使用につながります。インフルエンサーをフォローしている参加者はより多くの商品やサービスに触れ、ブランド依存性と購買意欲を過剰に高めることを示唆しています。つまり、企業や美容整形(自由診療)を提供するサービス業にとって、SNS・インフルエンサーへの依存性を高めることは、売り上げ増加に欠かせないツールとなっています。この点を理解してSNSを利用することも大切だと思います。
3) Leite, Â., Rodrigues, A., Ribeiro, A. M., & Lopes, S. (2024). Contribution of Social Media Addiction on Intention to Buy in Social Media Sites. Digital, 4(1), 169-181.
4) Nikolinakou, A., Phua, J., & Kwon, E. S. (2024). What drives addiction on social media sites? The relationships between psychological well-being states, social media addiction, brand addiction and impulse buying on social media. Computers in Human Behavior, 153, 108086.
オーストラリアの未成年SNS規制によって、未成年の方々がSNSへのアクセスを完全に遮断することはできない可能性が高いと考えます。抜け穴もあるでしょうし、それを探すのが楽しみであったりもします。また、SNSには「情報を得る・周囲と交流する・遊ぶ」といった側面も存在します。しかしながら未成年のSNS規制は「SNSの使用は一定のリスクや依存性が存在する」ことを子どもたちが知るきっかけにもなります。国や行政が一定のルールを示すことで、家庭内でもデジタルリテラシーについて、より議論しやすくなることを期待したいと思います。
