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​ブログでは視覚に関する論文紹介を中心に更新しています。

レーシック術後のリカバリーレンズ

Sakura
2025年9月10日
読了時間: 5分

更新日:9月28日

ご相談内容:「この1〜2年で、遠くも近くも見えにくくなりました」


15年前にLASIK(レーシック)手術を受けられたお客様です。術後の視力は両眼とも2.0まで改善していましたが、2年ほど前から遠くも近くも見えにくくなり、それに伴って頭痛や眼精疲労を感じる頻度も増えてきたとのことで、ご相談いただきました。屈折状態および調節力を確認したところ、以下の結果でした。


(R)0.3(1.5)× S+3.75 D C-1.75 D Ax95 ACC 0.52

(L)0.2(1.5)× S+4.25 D C-2.25 D Ax90 ACC 0.40

※ACC:Accommodation(調節力)


両眼とも矯正視力は1.5と良好でしたが、裸眼視力は右眼0.3、左眼0.2、両眼でも0.4で、遠方も見えにくい状態でした。さらに、両眼とも比較的強い遠視と乱視があり、調節力も低下していました。そのため、遠方だけでなく近方を見る際にも負担がかかりやすく、今回訴えられていた「遠くも近くも見えにくい」という症状と一致する状態でした。


そこで今回は、遠近両用レンズを用いて遠視と乱視を補正し、遠方から近方までできるだけ無理なく見られるように調整しました。また、お話を伺うなかで、幼少期から「少し外斜視気味だった」とのことでした。そこで屈折状態だけでなく眼位や両眼視の状態についても確認し、必要な補正を併せて行いました。


約1か月レンズをご使用いただいたところ、

「遠くも近くも快適に見えるようになり、頭痛や眼精疲労を感じる頻度も減りました」

とのご感想をいただきました。


遠視と調節、眼精疲労の関係

では、なぜ遠視があると、遠くだけでなく近くまで見えにくくなるのでしょうか。私たちの目は、見る距離に応じて水晶体の厚さを変化させ、ピントを合わせています。この働きを「調節」といい、自律神経がその制御に関与しています。遠視の場合、程度によっては遠方を見る際にも調節を使ってピントを合わせる必要があります。そして近くを見る際には、そこからさらに調節する必要があります。若い頃であれば、ある程度の遠視を自身の調節力によって補うことができます。しかし、年齢とともに調節力が低下してくると、それまで補えていた遠視を補いきれなくなり、遠方・近方の両方に見えにくさを感じることがあります。また、無理にピントを合わせ続けることは視覚的な負担となるため、遠視や調節機能の低下が眼精疲労や頭痛などの症状に関与することもあります。今回のお客様の場合も、強い遠視と乱視に加えて調節力の低下がみられており、このような複数の要因が見えにくさや眼精疲労に関係していた可能性があります。


15年前のLASIKと現在の遠視

今回もう一つ気になる点は、15年前にLASIKを受けられていることです。当時、担当医からは「遠くがよく見えるように多めに削っておいた」と説明を受けたとのことでした。そのため、手術直後にはやや遠視側の屈折状態になっていた可能性も考えられます。ただし、手術から15年が経過しているため、現在みられている遠視を当時の手術設定だけで説明することはできません。目の屈折状態は一生変わらないものではなく、角膜や水晶体などの変化に伴って年齢とともに変化することがあります。そのため、屈折矯正手術を受ける際には、現在の視力だけでなく、将来的に屈折状態が変化する可能性についても理解しておくことが大切です。また、LASIKなどの屈折矯正手術後に年月を経て見え方が変化してきた場合には、単に「度数が変わった」と考えるだけでなく、角膜や水晶体など眼そのものの状態について眼科で確認しておくことも重要です。


屈折矯正手術と眼位・両眼視機能

さらに今回のケースでは、幼少期から外斜視傾向があったという点も重要です。LASIKやICLなどの屈折矯正手術では、左右それぞれの目の屈折状態が大きく変化します。そのため、もともと斜視や斜位がある方では、屈折状態の変化によって、それまで保たれていた左右の目のバランスが変化する可能性があります。『眼科手術』37巻4号(2024年)でも、斜視のある患者に屈折矯正手術を行った場合、術後に複視や眼精疲労などが生じる可能性について述べられています。つまり、屈折矯正手術では「片目ずつよく見えるようにすること」だけでなく、左右の目を一緒に使ったときに無理なく見られるかという両眼視機能も大切になります。そのため、もともと斜視や斜位を指摘されたことがある方や、目の疲れ、頭痛、複視などの症状がある方が屈折矯正手術を検討される場合には、術前に眼位や両眼視機能についても確認しておくことをお勧めします。


屈折矯正手術後の見えにくさでお悩みの方へ

屈折矯正手術を受けたあと、何年も経過してから「以前より遠くが見えにくくなった」「近くを見るのがつらくなった」「眼精疲労や頭痛が増えた」と感じることがあります。そのような場合には、現在の視力や眼鏡度数だけでなく、遠視・乱視などの屈折状態、調節機能、眼位、両眼視機能などを総合的に確認することで、見えにくさの原因を整理できる場合があります。屈折矯正手術後の見え方でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。


※本記事は、お客様ご本人の許可を得たうえで、個人が特定されないよう配慮して掲載しています。

※急激な視力低下や屈折状態の変化、頭痛などには眼疾患やその他の疾患が関係している場合があります。

※症状が続く場合や急な変化がみられる場合には、眼科などの医療機関を受診してください。


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