網膜剥離術後のリカバリーレンズ
- Sakura
- 5月16日
- 読了時間: 2分
更新日:9月10日
ご相談内容:「網膜剥離の手術後、頭を傾けて見ないと焦点が定まりません」
網膜剥離の手術を受けられたお客様です。網膜剥離の術式の一つにバックリング手術があります。眼球の外側からシリコン製のスポンジを縫い付けて眼球を凹ませ、網膜を元の位置に戻します。
合併症として、目の外側にシリコンを置くことで目の動きが若干悪くなることがあり、眼球の位置が偏位してしまう事があります。また、自覚症状として複視(物が二つに見える)、眼球運動障害が出現することもあります。
今回のお客様はバックリング手術後、複視の症状にお悩みでした。同時に、目が起因となって頭頚部が斜頸(傾く)してしまう眼精斜頸の症状もあります。オペを行った眼科クリニックさんからのご紹介でご来店いただきました。
測定してみたところ遠方において垂直方向に10.26°(18⊿)、水平方向に5.7°(10⊿)眼位のズレがありました。同時に術後、頚部の疲労感と胸鎖乳突筋の痛みに悩みをお持ちでした。
そこで今回はバックリング手術による眼位の偏倚をプリズムレンズにより調整します。
眼位の偏倚に対して装用可能な範囲で最大のプリズム度数をPA(Prism adaptation)を行いながら確認し、調整を繰り返します。最終的に垂直方向に4.56°(8⊿)、水平方向に2.85°(5⊿)のプリズムレンズを用いることになりました。また、眩しさを感じやすくなっていたことから、調光レンズで製作します。
レンズをお渡し後、一か月後の定期チェックの際には複視の症状は概ね消失し、胸鎖乳突筋の痛みもほとんど感じなくなったとの事です。ただし、パソコン作業時間が長時間に及ぶと複視の症状や頚部の疲労感を感じることがあることから、今後はそれらの自覚症状が大きくなった場合にはプリズム度数を変更して対応することとしました。
網膜手術後、目の見え方にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
※この記事の内容はお客様に許可をいただき記載しております。
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