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​ブログでは視覚に関する論文紹介を中心に更新しています。

高温と紫外線が白内障に与える影響

  • Sakura
  • 6月23日
  • 読了時間: 3分

更新日:7月12日

近年の研究から、水晶体温度が白内障の進行に影響を与える可能性が指摘されています。


金沢医科大学眼科学講座、佐々木先生らの研究グループによると「皮質白内障には紫外線と関連が強い輪状型皮質白内障、紫外線と関連がないWatercleftsという白内障が進行し生じる車軸型皮質白内障があることがわかってきた。紫外線強度の強い地域では核白内障のリスクが急激に上昇することが、今回の結果に影響している可能性があると考えている」と発表しています。

Miyashita H, Hatsusaka N, Shibuya E, Mita N, Yamazaki M, Shibata T, Ishida H, Ukai Y, Kubo E, Sasaki H. Association between ultraviolet radiation exposure dose and cataract in Han people living in China and Taiwan: A cross-sectional study. PLoS One. 2019 Apr 25;14(4):e0215338.


沖縄県・西表島の40歳以上の住民を対象とした研究では、同じ西表島在住の健常成人であっても、高校まで沖縄に在住していた群は、20代以降に移住した群よりも核白内障に8.67倍なりやすかった結果が示されました。


世界各地の研究結果では、屋外活動時間やメガネやサングラス装着習慣の有無によって白内障発症リスクが大きく変わることも明らかになっています。

Ivanov IV, Mappes T, Schaupp P, Lappe C, Wahl S. Ultraviolet radiation oxidative stress affects eye health. J Biophotonics. 2018 Jul;11(7):e201700377.


また、名古屋工業大学、平田晃正先生らの研究によると、高温環境下、具体的には水晶体温度が37度以上の熱負荷が続くと、核白内障リスクが増す可能性が高いことが明らかになりました。

Yamamoto N, Takeda S, Hatsusaka N, Hiramatsu N, Nagai N, Deguchi S, Nakazawa Y, Takata T, Kodera S, Hirata A, Kubo E, Sasaki H. Effect of a Lens Protein in Low-Temperature Culture of Novel Immortalized Human Lens Epithelial Cells (iHLEC-NY2). Cells. 2020 Dec 11;9(12):2670.


このように、紫外線と水晶体の高温化は白内障の進行速度を増幅させてしまう因子になります。


外部気温の上昇は、水晶体の高温化を招きます。金沢医科大学眼科学講座、佐々木先生らは「白内障というと、高齢者を中心にありふれた疾患であり、手術すれば治る、といったように捉えられることも多いが、手術をしても決して若い時の視力・見え方に戻るわけではない。さらに核白内障の初期症状は老眼であり、紫外線被曝や熱中症既往は30~40代といった若い時期の老眼リスクにもつながる。まずは予防が肝要だ」と予防の重要性について述べています。


適切なサングラスや眼鏡、UVカットコンタクトレンズの使用は、白内障や核白内障による老眼の症状を一定程度、抑制できる可能性があります。また、猛暑日には目を冷やすといった対処も必要になるかもしれません。


目の機能維持の観点から考えてみると、サングラスや眼鏡、UVカットコンタクトレンズの適切な使用は、目にとって多くのメリットがあります。


特にお子様の屋外運動時にはサングラスや眼鏡、帽子の使用が推奨されています。

暑い夏、ご参考になりましたら幸いです。

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